新しいカメラ、買いました。
100万を超すカメラをあなたはどう思いますか?贅沢だ!金持ちの遊び!道楽だ!良い写真は良いカメラでなくとも撮れる!弘法筆を選ばずってことわざがあるだろ!そんな意見が多いのではないでしょうか?実は僕もそんな気持ちを持っていました。しかし、使ってみるとその値段が与えてくれるものが確かにあり、また120万のカメラを買う行為そのものが自分に与えてくれるものがあります。
カメラの特徴
Hasselblad 907X & CFV 100Cは他に類を見ない使用方法があるのです。僕が学生時代から持っている1953年に製造されたHasselblad中判フィルムカメラ「Hasselblad 500C」のフィルムマガジン(フィルムを装填する部分)に変えてHasselblad 907X & CFV 100Cのデジタルバックを付けることで、デジタルカメラに変わるのです。
つまり、フィルムカメラとデジタルカメラの両方の機能を維持できるようになりました。プレリリースの段階ではこんな画期的なシステムを半信半疑で聞いていたのですが実際に販売されると即完売。もう欲しくて欲しくてたまらなかったのですが、在庫も無くて100万以上の価格ということもあり、なかなか購入に至れなかったのですが、4年後の2024年にその後継機「Hasselblad 907X & CFV 100C」をついに手中に収めました。
空気感すらも写し出す
1億画素のミドルフォーマットセンサーを搭載した中盤デジタルカメラの写りに期待するのは当たり前。仕事で訪れていた沖縄最北端のリゾートホテル「オクマ プライベートビーチ & リゾート」のサンセットを撮影した時に、オレンジ色と青色のグラデーションの階調の豊かさに度肝を抜かれました。
目の前の光景をそのまま、いや目には収めきれない情報までもしっかりと撮り残すことなく描写してくれている。この感覚は、大学生の頃に35mmのフィルムカメラから中判のフィルムカメラへと買い替えた時、暗室で浮き上がる中判フィルムの描写力を感じた時と同じでした。
ポートレートではまるで目の前に被写体がいるように感じます。皺や毛をくっきりと描写しながら、「Hasselblad 500C」のオールドカメラが生む優しい描写が妙に生々しくて写真的です。「空気感すらも描写する」と謳われる理由にも頷けました。
オートフォーカス機能や露出計機能も無く、不便と言われればその通りです。しかし、シャッターを押すまでに被写体と向き合い、露出を計ってカメラに露出の値を反映させ、ピントを合わせる。そのたった2分間ほどの「間」があり、私はこの「間」をすごく大切なものだと捉えています。被写体や同席している方、アシスタントなど全員と今から撮る写真の意味を噛み締める。スナップシューターではなく、じっくり腰を据えて撮影する写真が僕には合っています。「Hasselblad 907X & CFV 100C」はそんな撮影と相性が良いカメラだと感じました。
自分の写真への投資
今、私の仕事で「Hasselblad 907X & CFV 100C」はオーバースペックなのは承知の上。贅沢だ!金持ちの遊び!道楽だ!良い写真は良いカメラでなくとも撮れる!弘法筆を選ばずってことわざがあるだろ!経営的には、いつ頃ペイできるの?その価値に対する報酬の見込みは?そんな不安しかないです。しかし、経験しないと見えない世界があるのも事実。その世界を知ることで、目指す世界も変わる。きっとこのカメラが連れて行ってくれる世界は確実にある。未来の自分の写真に投資する価格として120万は高いか?安いか?と問割れれば、私は安いと思います。
この先、広告写真撮影業務で巨大なポスターなどの撮影が入れば耐えうることもできる。また通常のカメラでは満足できない個人様・企業様と一緒にこれまでにない高画質な写真を通して、プロのフォトグラファーの存在意義を再確認していくことができればとっても嬉しいです。そんな仕事とのご縁があることを願いながら、本日も頑張ります。
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